終わらせないで
怪我をして仲間はずれにされた白鳥と嘘がつけないうさぎが友達になった。嘘がつけない、というのは諸刃の剣である。思ったことをすぐ口にしてしまううさぎの周りには誰も近付かなくなってしまった。白鳥を除いて。
「あなたはいつまでこの湖にいるつもりなの。」
『いつも言っているだろう?羽が傷ついて飛べないんだ。仲間はみな既に北へ行ってしまったけどね。』
「他にも怪我をしていた白鳥はたくさんいたわ。」
『何でも他と比べればいいってものじゃないよ。僕は僕のペースでやっていくさ。』
「焦ったりしないの?」
『君は何か焦っているのかい。』
「何も別に…そういうんじゃないけど、」
ある日突然白鳥は言った。
『今日、北へ立とうと思うんだ。よければ君に見届けてほしい。』
「…ふうん。いいけど。」
『元気がないね。具合でも悪いのかい。』
「決してそんなことはないわ!」
『ならいいんだけど。それじゃあ、僕は行くね。短い間だったけどありがとう。』
「待って…!私ずっとあなたのこと!」
そこまで言って、うさぎは自嘲気味に笑った。
「やっぱりなんでもないわ。また来年、会えるのを楽しみにしている。」
真っ白な白鳥は一枚羽を落として北へ向かっていった。
11/28/2024, 2:20:22 PM