大好きな君に
僕は君達が大好きだ!
ずっとずーっと君達だけを見てきた!
凄く嬉しいんだ、毎日君達があくびをするところを
毎日君達が眠る顔を、毎日君達が食事をするところを見届けられる事が!
僕は君とは話したことがない。
君は僕のことを知らないかもしれない。
君は学校でも人気者だ。
誰からも声をかけられない、忘れ去られた僕なんかとは大違いだ。
でも僕はそれでいいと思うし、それが一番だともおもう。
君は僕なんかに縛られていてはいけないんだ。
でも、だけど、一度だけでも君とお話がしてみたい。
君と想いを通わせてみたい。
だから僕は君に、手紙を書いてみようと思う。
部屋にあった、君のペンと紙で。
しかしペンが持てない。
どうして、どうして、
ペンを掴もうとしたそばから体をすり抜けて行く。
…僕は君と、たった一人の我が子と文通することも出来ないのか。
僕は、君が生まれる前に車に撥ねられて死んだ。
ずっと君と妻が心残りだったから、死んですぐに君たちに会いに行った。
でも君たちには僕が見えない。
こんなに虚しいことはない。
隣に座っていても君達は僕に気付かずいないものと扱う。
10年も経てば墓にも誰も来なくなった。
僕が皆の事を大切に思っていても、妻は新しい男を連れてきた。
僕に一生縛られるよりはいいのかもしれない。
でも、僕はここにいる。
だからせめて『愛している』とだけでも手紙を送らせてほしかったのに。
僕が居ると気づいてほしかったのに。
もはやここから出たとて行き場も無い。
君達を助けることも、君達に悪さをすることもできない。
だから僕はずっと君たちを見ていようと思う。
気づかれる日が来なかったとしても。
僕はずっと君たちが大好きだ。
3/5/2026, 5:28:21 AM