「元気そうでよかった。幸せのお裾分けありがとね。」
助手席を降りてドアを閉める前にあなたは顔を覗かせながら私の目を見てそう言った。
膝の上で薬指の指輪を右手で潰すように強く触りながら、「こちらこそありがとう。」と笑顔で返した。
何年もずっと片付けられずにいた気持ちが、声をあげて泣き出しそうだ。
「あなたと幸せになりたかったよ。ばーか。ばーかばーか…!」
最後にそう言いたかった。
言ったあとのハッピーエンドだって夢に見た。
強引に奪いさらわれて、抱きしめられたかった。
「君が好きだ」って言葉を、
今もどうしようもなく待ってる。
----- 特別な存在
3/23/2024, 4:08:06 PM