放課後、親友のSとぼくはスクールバスでスイミングスクールに通っていた。
毎回、到着までばか騒ぎをしては怒られた。なにせ、ぼくらはアホな小学生男子だったから。
ある日、隣のシートでSは静かだった。
両手にいくつかの消しゴムを持ち、順番にかいでいる。
バス停前に数台のガチャガチャがあり、不人気で捨てられたものをSは拾い集めるくせがあった。
「これ、○○の匂いシリーズなんだよ」
「へえ…その黄色のは?」
「バナナの匂いだよ」
確かにバナナの匂いがする。
「こら、ふごいよ」
Sはニヤッと笑い、黄土色の消しゴムを差し出した、
「な、なんだよ。これ…」
「うんこの匂いだよ」
ぼくはあきれて、通路の反対のシートに逃げた。
「ふごいよ、うんこの匂いだよ」
Sは盛んに黄土色のブツをかぎ続けた
「絶対おれに近づくなよ!」
Sはニヤニヤしながら、ほかの消しゴムの匂いと較べているようまった。
少ししてSの動きが止まった。
鼻を黄土色の消しゴムに近づけたまま。
そして吐いた。
10/12/2022, 5:04:15 PM