「ねえ、どうしてこんなことするの?」
彼女は静かにそう問う。誰に向かってか……なんて、私はもちろん分かっていた。
「逆に、どうしてそんなこと聞くの?」
わざと口角を上げてそう聞くと、彼女は黙って下を向いた。その手はギュッと強く握りしめられている。そんなに強くしたら、血が出ちゃうよ。そう思っても、私は口に出さない。
「だって、おかしいじゃない。あなた、私が誰だか分かってるの? こんなの、納得いかない」
ようやく黙ったと思ったらまた話し始めた彼女を見て、私は嘲笑する。
「そんなの、決まってる。だってあんたは私を…」
「いじめたじゃない!」
続きを言おうとすると大声で遮られ、私は驚きで口をポカンと開けた。
「私はあんたをいじめたの! そんなの、他でもない私が分かってるわよ、いじめたくていじめたんだから!」
そうわめき散らす彼女に、私はようやく元の表情を取り戻し、ニッコリと笑った。
「そうよ、あんたは私をいじめた。立派ないじめっ子」
「だったら、なんで!!」
「なんで……何?」
意地悪くそう聞くと、彼女は唇をかみ締めてから私をまっすぐに見つめて言い放った。
「こんな、気持ち悪いくらい優しくするの?って聞きたいの! 毎回車道側に行ってくれたり、誕プレにほしいもの調査して買ってくれたり、お弁当忘れたときにおかずを分けてくれたり!!あげく、こんなところに呼び出して、「今、美恵がキモがってる男子がいたの、危なかったねー」ですって!? あんた、どっかおかしいんじゃ」
「私はおかしくないよ」
彼女……美恵の声を遮ってそう言うと、彼女は黙って私のことを真ん丸な目で見つめた。
「ただの、復讐。たっくさん優しくして恩を売ったあとで、いーっぱいひどいことしてあげる♡ 言っておくけど、あんたの味方、もう誰もいないよ。言い寄ったらすーぐ寝返るんだから、あの人たち」
美恵の顔が、どんどん青くなっていく。私はそれを見て満足し、うなずきながら微笑んだ。
「美恵って、人望ないね」
「やめて」
「でも大丈夫、私たちはまだ友達だよ」
「やめて!」
「実際、美恵は私に頼りっぱなしだもんね」
「やめてよ!」
「明日からいつもと同じようにすれば、美恵は今日のことを夢だと思うでしょ、知ってるんだから」
「ねえやめて!!」
「友達の間は、たっくさん優しくしてあげる、そのあとで」
「やめ、」
「最後の友達を失う気分、存分に味わわせてあげるからね♡」
「やめてええええ!!」
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#優しくしないで
こんにちは、しばらくこのアプリを開いていなかったらアカウントが消えていたなぎさです。
暇な時にやる感じになります。
5/2/2024, 12:16:51 PM