暗い、何も見えない。
まるで墨汁のボトルのの中に閉じ込められたみたいだ。
こんな世界に来ると、ひとつ思うことがある。
ああ、ここは夢の世界なんだな、と。
最近、所謂"明晰夢"というものを見る。
そして、この暗い世界に迷い込んだ時に、もう1つ怒ることがある。
ある人に会うのだ。
その人は知り合いのような、はたまた他人のような、よく分からない人だ。
元々この夢はこの黒い世界に閉じ込められるだけで、はっきり言うと怖かったのだが、
この人が現れてからは、なんだか夢を見るのが楽しくなった。
だがこの人、一言も話さないのだ。
それもいいかなと最初は思っていたが、日数が経つにつれ、少しづつ苦痛になってきた。
何か話してくれないだろうか。
せめて名前だけでも…
そう思いながら俺は今日も眠る。
あの人に会うために。
「あの人に出逢ってから、俺は眠るのが楽しくなった。」
5/5/2024, 2:11:59 PM