不完全な僕
変身する所を誰にも見られてはいけない。誰かの「目」にとらわれて魔法が閉じ込められてしまう。
あの人に見つかったとき、僕はしまったと思うより「ついにこのときが来た」とうれしくなった。
あの人の目に見つめられて、心がとらわれることがうれしかった。
中途半端に変身した身体を、あの人は怖がることもなく受け入れてくれた。
肩甲骨をなぞる指の感触がぞくぞくする。
爬虫類みたいなウロコを持つ肌を、ほほえみながらなでてくれた。
ちゃんと隠れてもう一度変身したい。
そうしたら、僕はあなたを乗せて大空を舞うだろう。
8/31/2022, 10:13:44 AM