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お気に入りの布団があった。
長年使い続けた幼児向けの布団だ。
既に綿が飛び出していて、既に、布団と呼べるよな代物ではなかった。

買い替えの時期はとっくに過ぎていることなんて理解していたが、不思議と長年使い続けたものには意志が宿っているような気がして、捨てたら恨まれるんじゃないか?と内心不安になったりもした。

そんな思いとは裏腹に使えば使うほど、飛び出した綿は裂け、ビリビリと悲鳴を上げる。使っているうちになんだか老人に鞭を打って働かせているような気持ちになってきた。

これではどのみち恨まれてしまうので、意を決して布団を買い替えることに。

愛着というか小心者というべきなのか。
捨てられないもの。

8/18/2022, 3:06:23 AM