明良

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なかなか当たらなかった窓際の席についにこれた。
日差しも落ち着いてきたこの頃、窓際の席を堪能するには良いタイミングなんじゃないかとワクワクしていた時期もあったな、と思い出す。

寒い。

日差しも無いし、窓を開けても暑さが落ち着き虫が入ってこないのはいいものの、入ってくる風が思いの外寒い。こんなでもあついあついと、代謝が良いやつもいるし、風があるのにエアコンつけるのもちょっと、ということで、自分の一存で閉める訳にはいかないのだ。集団行動、民主主義の闇だなんて、辛くても合わせなければならなくなったこのポジションになった途端に思う。

強風では無いし、もう風のことはいい。
このカーテンだ。こいつが風で広がり、片手でやんわりと払うだけじゃ、はらえない。生き物のように顔面を撫でつけて視界を邪魔してくる。ここが家なら思い切りぶっ叩いて、縛り上げていた。

別にここでも、さっと結んじゃえばいいじゃん、という話だが、タイミングが掴めない。窓際の席に関しては初心者マークの生徒なので。他の生徒なら、さっと立って授業中でも先生も気にせず、結ぶし、周りの席も何も言わないけど、あ、やってくれた、と一瞬だけ思いおわる。
でもいざ自分がそれをやるとなると、いまいち踏み出せない。このカーテンの暴れよう、被害があるのは自分だけだが、周りも風の具合によってはいつ自分まで巻き込まれるのかと、ちょっと気になっているのはちりちり感じている。いつやんのかな、気になんないの、はやくやってくんないかな、と思われてるかもしれない。

でもこの暴れカーテンをすぐに押さえきれずに、奮闘する無様を、無視されているようで見られていることになったら、とか考えては、もうはやく休み時間こい、それか風なくなれ、とひたすら念じていた。

【カーテン】

10/11/2024, 11:59:37 AM