六花

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「それで、私自分でも
"あ、これはヤバいな"って思ったんだよw」
「あははw」

なんて事ない会話
今迄と何も変わらない会話
前までならこの会話をしている場所は今日教室だった
でも、三年程前から病院の一室で毎日会話をしている

彼女が死んでしまうまで、後どのくらいなのだろう
先生は何となく知ってるだろうけど、
本人が一番分かってる
でも、両者とも私には教えてくれない

「それでさ〜、」「ふぅちゃん」
話し始めようとした私の声を彼女が止めた
"ふぅちゃん"
彼女が私の楓花という名前からつけたあだ名
小さい頃につけてくれて、
中学生になってからは呼ばれなかったのに、
「ん?何?ってか久々にそう呼んでくれたね」
「確かにそうだね」
嗚呼、何でそんな顔するの
私まで悲しいよ
「入院してからも何時も来てくれてありがとね」
「当たり前じゃん。」
「でも、もう大丈夫だよ」
「あ、もしかして退院?おめでと!」
「ううん、違うよ。」
「...聞きたくないよ、そんなの」
「うん、知ってる」
「分からない振りしてるのに、何でなの」
「自分が1番分かってるからね」
「嘘って言ってよ、お願いだから」
「ゴメンね、嘘って、言えないんだ」
「やだよぉ、嘘だって言ってよ、お願いだからさぁ」
彼女は私の声に答えず、唯静かに笑っていた
嘘だ
ヤダよ
私、信じないよ

ピー
無機質な音が病室に響いた
嗚呼、終わりなんだ
「まだ、終わりたく無かったよぉ.....」
神様、まだ、ほんの少しだけでもいいから、
終わらせないで欲しかった




お題〚終わらせないで〛

11/29/2023, 10:14:04 AM