「ゆーきやこんこんっあーられやこんこん」
少女は楽しそうに歌う。
「最近ね、わたしおかしいの!!」
軽やかな言葉で話し出す。
「あなたを見ていると、あの人の名前を呼びたくなるの!
…あなたはあの人じゃないのにね。なんでなの。こえもきこえなければ動くこともない。あなたは…たった一本の、木なのに。
まるであなたがあの人みたい。
…そういえば、わたしがこの世界からいなくなってどれくらい経ったのかしら?」
少女が亡くなったのは84年前のことだった。
10歳にも満たないであろう背丈、声。「あの人」も同じくらいならば、もう……。
その続きの答えは、木に積もった雪が、見せてくれなかった。それは、あの木が見せなかったのか。真実は分からないままだ。
_2024.1.7.「雪」
もりのくまさんの時と一緒の子が主人公です。久しぶりにpk以外の創作書いた…。
1/7/2024, 1:44:50 PM