アパー・キャットワンチャイ

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ミッドナイトのドライブ、久しぶりに楽しい。
深夜の首都高は、スピードが出せて気持ちいい。
会社にいた時に蓄積された、鬱屈した気持ちを解き放つ。
側面にビルの光が並走する。
窓を全開にして風になるような感覚に浸る。
まるで自分一人だけがすきにできる世界に来たみたいだ。
明日の朝は寝不足で会社に向かうことは分かりきっている。
だからこそ逃避する。
全てのことを忘れるように。
深夜の空気は東京と言えど澄んでいて、気持ちがいい。
「おいしい...。」
風をひと通り浴びて、もう充分と感じたら、治安の悪い音楽をかける。
普段の自分からなるべくかけ離れている、腹の底から重低音が響くような、ガラの悪い曲だ。
ラップが聞こえてくる。
何を言っているのかは分からないし知ろうともしない。カッコ良ければそれでいい。
首都高をぐるっと1周したら、それでタイムオーバーだ。
それで満足したら万々歳。
物足りない感じがしたらなるべく人がいない、人工物の少ない、遠くへ、遠くへ、行くのだ。八王子や千葉方面など、とにかく自然の多いゆとりのある場所へ逃げる。
そこで癒されるまで走る。空気を感じたり、重低音ラップをきいたり、時には海に行く。
それが自分の機嫌の取り方。
なるべく長く自分と付き合えるように、好きなことをさせてあげる。
やるせない気分は逃避してやり過ごす。
そんな日々はどこまで続くだろうか―――と思いを馳せるが、そんなものは分からないし考えなくてもいい。
どうせ答えは出てこない。

今日も、明日のエネルギーを充電するため、ギアをあげる。

1/27/2024, 8:42:23 AM