おかゆ 15

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長いですが良ければ見ていってください❀


1✻ そろそろ暖かくなってきたこの時期。
体育館につづく外のスロープを降りているとき
体育館からシューズの擦れる音が聞こえると同時に、僕の目の前に1枚の桜の花びらが悲しそうに降ってきた。 僕はまた無視する。桜が散ることなんて当たり前のことだから。
それで散ったあとなんて人に踏まれるか誰かに掃除されて消えるだけ。
でも今日は考えてみた。
桜にも前世があったのかなって…。
もしその前世が人間だったら。僕と同じだったら。
まあそんなことはどうだっていいと僕は体育館に
向かっていった。

2✻ 「倉本春香」は僕と同じ部活の人。いつも明るくて僕とは真逆。卓球部の部長をやっている。
ほんとに彼女はいつも笑顔で部員に接していてすごいなと思う。
でも彼女は隠している。自分が病気だということを
必死にバレないように。
僕が彼女の病気を知ったのは去年の12月。
部活で最後二人だけになった時、彼女がいきなりしゃがみ込んだ。先生を呼ぼうとしたが彼女はいつものことだからいいと、先生を呼ばなかった。
そして直ぐに僕は彼女の指示通り、鞄にある薬を出して彼女に渡した。数分経ってようやく彼女が少し落ち着いてきた。そしたら、彼女は少しずつ病気のことを僕に話してくれた。
彼女は心臓の病気だと言っていた。今でも治療法がなくて薬で何とか耐えているらしい。だから寿命も残り少ないと、来年の春にはもう居ないと、僕は告げられた。 僕は信じられなかった。まさかあんな元気な子がこんなことを言うなんて思ってもいなかったからだ。
僕が驚いて黙っていると彼女はまた少しずつ話してくれた。
「来年にはもう居ないから、残りの3年生の期間君に部長をやってほしい!」と。
正直僕はやりたくなかった。だからこれだけは少し難しいと彼女のお願いを断った。彼女は少し暗い顔をしていたがまたすぐに笑顔で「大丈夫!」
と言ってくれた。

そしてこの日以来あまり彼女は学校に来なくなってしまった。あの日から体調が悪化してしまったのだろうか。やっぱり救急車を呼んでおくべきだったと後悔したがあの時、彼女がおおごとにはしたくないからと言って呼ばなかったし、病気のことは誰にも言わないで欲しいと言われた。
僕は約束を守ったつもりだった。あの時までは……

3月、彼女が亡くなった。

予定より早くいなくなってしまった。理由は
自殺。
僕は一番それに驚いた。
あんなに人生を楽しんでいた人が自殺だなんてありえない話だからだ。
僕はその話を聞いてからしばらく学校をやすんだ。なぜ自殺したかは分からない。でも単純に全てを受け取るのはむずかしかった。


3✻ 彼女が亡くなる前にこんな話をされたことがあった。
「人間って、美しいと思わない?いつか必ず死んじゃうのに毎日一生懸命いきてるんだよ!?そう考えると少し悲しい気もするけどねー。
だったら私は死ぬ時、桜みたいに綺麗に散っていなくなりたいな…その方がまだまし!あーあー、来年も桜見れるかなぁ」
なんて、冗談半分で言っていたけど実際、桜も見られずに消えてしまった。

だからせめて彼女があの時言っていた僕が部長をやるということを叶えてあげようと思った。もうこれ以上彼女の悲しい姿は見たくなかったから。
彼女は僕の「生きる意味」を作ってくれた。
だからこうして毎年桜を見るとあの時を思い出す。




4/27/2023, 1:50:32 PM