〈君の声がする〉
死のうと思った。
高卒で入った会社も辞め、生活保護を受けながら過ごしていたが、もう限界だった。
病名もいくつかつき、薬を飲んでも体に合わず、試して、薬を変えて、のサイクルだった。
廃墟に行き、今にも倒れそうな屋上の扉を開ける。
空は広かった。
手すりに手をかけた時だった。
スマホの通知音が鳴った。
最初は無視していたが、電話だったみたいで長くブルブルとスマホが震えていた。
こんな時になんだよ、と苛立ちを覚えながら電話に出た。
「お前、また死のうとしてるだろ?」
電話の主は挨拶もせず唐突に言った。否定の言葉をかけようとする前に「後ろ見てみろ」と言いわれた。
後ろを見ると、君がいた。
君は急いで私のもとに駆け寄り、抱きしめ、泣きながら死ぬなと何度も言った。
君は一体、何者なんだよと思いながら、私も泣いた。
2/15/2025, 11:46:27 AM