「まだか?」
「そう焦るでない。待つのじゃ」
奴らをなんとかなだめているが、このままだとワシの命も危ないのう…
無理もない。地面もひび割れはじめて、このままでは稲も枯れてしまう。
飢えて死ぬのは辛いからの。
ワシは祈りを捧げ続けておるが、空は変わらず薄雲が流れているだけじゃ
これは厳しいかのう?
「わかっておるな!雨が降らない時はどうなるかッ」
言われずともわかっておる。
火を炊いて太鼓を叩き、一心不乱に祈りを捧げる。
………
カチッ
「これまでのようだな。代わりの者を探す。」
南無三…
「ん?」
額にぽたりと冷たい感触
「雨だ!雨が降ってきたぞ」
ふう
命拾いしたわい。
さっきまでと打って変わって黒々とした雨雲が空にひしめいておる。
この空模様に助けられたわ。
今まで出鱈目な祈祷をしていたがばれずにすんだわい。
お代を戴いてこの場を立ち去るとするかのう。
村人達が歓喜の舞を舞っている後ろで、1人の坊主がニヤリとほくそ笑んでいた。
8/19/2024, 3:56:46 PM