「楽園」
その先に見えている甘味に私はどうしようもなく憧れていた。羨ましい。私もそこにいたい。
でも、どうにも飛び込めない。勇気が出ない。世界が違うのだとわかっていた。自分の殻に閉じこもって、結局抜け出せなかった。目を閉じるだけだった。
鳥かごの中から自由な青い空を物欲しそうに眺める。でも、きっと私はまたなにもできない。本当にそこは楽園なのかな?もしかしたらここより辛い思いをするかもしれないのに...。不安感が私を既存の怠惰に誘う。
拐かされそうになる。きっと酸っぱいぶどうだ。私は悔しくって自己暗示するしかなくなってしまったのだ。
ああ、戻りたい。殻をやぶりたい。翼がついていたころはゲージの外を自由に飛び回っていた。もはや私に自由に生きる力も勇気もない。
今からでも翼をはやしてあの楽園の先をみることはできるだろうか。あのぶどうの味を知れるだろうか。
もしそうなら...なんて。情熱にかなわない。
こんなところでうずくまってる私のことを見て、あなたきっと笑うでしょうね。楽園の先から優しい悪魔の声...
"Hello"
4/30/2024, 6:01:56 PM