子供の頃は
お姫様のようだった。
肌は白くて、目は大きくて、背は小さくて体も細くて、恥ずかしがり屋で、笑顔が可愛くて、守ってあげたくなる子だった。
だったのに。
「どうしたんだよ、元菜」
「こんなふうに成長するなんて聞いてない……!」
「は?」
「ゴリマッチョじゃん! 私の可愛い幼馴染を返して!!」
「いやそんなこと言われてもよ……」
「しかも金髪! 顔に傷! 不良じゃん!」
「いやこれはバイク事故で」
「ごめん!!!」
「お、おう」
日常
湿度が高い。
梅雨といえば弱い雨がいつまでも降り続くものだったはずだが、最近はスコールばりの豪雨に台風までやってくる。晴れたと思ったら真夏日で、降った雨がそのまま空気に取り込まれてジメジメが悪化した。
それでも太陽の力を頼って洗濯物を干した後、クーラーを求めてカフェへ出かけることにした。日を避けて逃げ込んだ木陰に、可憐な白い花を見つけて足を止める。
「あ、ドクダミ」
鬱蒼とした日陰はなんだかひんやりした。
好きな色
「#ff0000」
「#ffa500」
「#4169e1」
「#fff8dc」
「なんっでカラーコードで言うの!? 普通に赤って言って!? あとオレンジと青と……あとなんか薄い……薄いクリーム色? わからん!」
「cornsilkだよ」
「青じゃないしroyalblueだし」
「わからん!! 知らん!!!」
「じゃあお前は?」
「熨斗目花色」
「他人のこと言えねえよ!」
「漢字も読めなさそう」
「何系かもわからないね」
6/23/2023, 10:39:05 AM