誰もがみんな、俺のことを嫌っている。
みんな俺のことを無視するし、
殴ってくるし、虐めてくる。
一方、あいつは、
誰もがみんな、あいつを愛している。
クラスの人気者、愛川マヒ。
あいつは[華麗な王子様]と言われているくらい
愛されている。
王子様、なんて 存在しないのに。
王子様は、誰にでも優しくて、どんな人にでも手を差し伸べてくれる。そんな存在。
あいつが、王子様なわけないんだ…
『おいおい!!こんなもんかよ!』
『クソ雑魚が!』
今日も殴られて、蹴られて、
誰も、助けてくれなくて。
意識が遠のいていく。
目の前が、真っ白になって。
気付いたときには、俺は保健室にいた。
…だれが俺を運んでくれたんだ?
「あ、起きたんだ。大丈夫?」
そのとき、声が聞こえてきた。
俺の、大嫌いな声が。
そう、愛川マヒの声。
「血だからけで倒れてたから、運んだんだけど…」
_いい人ごっこかよ。偽善者め、
『…どうせ_お前も俺のことを嫌いなんだろ』
「え…?」
『善人のふりをしたいから、俺を運んだんだろ。』
思いっきり睨みつけてやった。
これでこいつも本性を表す。
俺は…このむかつく偽善者をみなくて済む。
_けれど
「僕は、君のことすきだよ」
は。今、こいつなんて?
『俺は、誰もがみんな俺のこと嫌っているんだ…お前も、』
「、だから!僕は好きだって言ってるんだ!」
人に好きって、初めて言われたんだ。
心臓がうるさい。
なんだか、体温が上がっていく。
「みんなは君のこと嫌いでも、僕はすきだよ。最初から。」
『…わかった、…あり、ありがとう、』
誰もがみんな、俺のことを嫌っている_
はずだった。
2/10/2024, 10:50:31 AM