宙ノ海月

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「距離」


『今日もありがとう、おやすみ。』

そう言って額にキスをしてくれる。

それが素直に喜べなくなったのは、いつからだっただろう。

はじめは合コンで出会った。

かっこいい彼に一目惚れをして連絡先までゲットした。

緊張して、1晩考えた文は『よろしくね』

そのメッセージに1分と経たずに返信が来て、悲鳴をあげたのを今でも鮮明に覚えている。

次に会ったのはその一週間後。

はじめはぎこちなくて、どちらも手を繋ぐことすら出来なかったのに。

手を繋いで、キスをして。息が触れ合うほど近くなって。

楽しかった。

甘い匂いを漂わせる彼の匂いが鼻腔をくすぐる。

「好きだよ」

「ありがとう。」

いつだって君は、自分から好きだとは言わなかったね。

次にあった時も、その次にあった時も。

段々と、連絡が少なくなって。

月に何回か会う時は、だいたい夜だけ。

おかしいとは思っていた。

初めから流されるように体を許して。

体にはいつも赤い鬱血痕があって。

好きというと、はぐらかす。

きっと、初めから、決まっていたことだった。

私は「好きな人」じゃない。

彼には、はなからそんなつもりは無いのだろう。

なら、これ以上傷つくくらいなら。

「もう、会うのをやめよう」って言えばいいだけなのに。

「……ねえ」

「なあに?」

「……やっぱ、なんでも、ない」

「…そっか。」

心の距離は縮まらないまま、今日も彼に身を委ねて。

香水の甘い香りが、体を包んでいった。



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あとがき

なんか話広げすぎちゃった気がする。
最近本読んでないからかなぁ…上手く書けないんだよね
期末テスト頑張ります

12/1/2024, 2:01:02 PM