ぺんぎん

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ふたりで会う日をきめると会えない日々に息が詰まった。そのたび木犀の匂いでごまかしていた。いま、羽をのばすように手のひらをそうっと宙に掲げてみせて、それに絡めてくれるきみの指があった。いい加減ひとつになりそうだった。夕暮れに外がみるみる冷え込んでゆく、きみはもうどこにもいかない、その確証があってよかった。くっついてもはなれたくなくなる寒さがあるから、冬はすてきだった。

11/11/2023, 2:42:11 PM