ペンだこ

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「俺に片想いする幼馴染みの女の子がほしい」
「二次元に行け」

剛の言葉に咲哉は興味なさげにスマホをいじる。

「ちょっとは真面目に聞いてくれよ」
「じゃあ真面目に聞ける内容を話せよ」
「ちょっとぐらい優しさプリーズ! 俺の夢見る心を育ませて!」
「なるほど。二次元にいってみるといいんじゃない」
「言い方が優しくなったらいいってもんじゃないからな」

咲哉はため息を吐いてスマホを切り剛に向き直る。

「片想いしてくれる幼馴染みの異性なんて二次元にしかいないだろ」
「だから夢見たいんじゃん」
「現実を見ろよ。小さい頃に遊んでいた異性の友達なんて、成長すればグループ作って疎遠だぞ」
「そんなこと言うなよ。俺は寝坊しそうになったら起こしてくれて一緒に登校し、小言をいわれながらも俺のことを放っておけない世話好きな幼馴染みがほしいんだよ」
「急に贅沢になったな」

咲哉の白けた視線を受けても剛はぶすくれるのみでダメージはなさそうだった。

「ってか咲哉はそういうのねぇの? 転校生が過去の思い出の女の子とか、地味系の女の子といい感じになるけど実は人気アイドルだったとか」
「それもう二次元で十分だと思うけど」

咲哉は腕を組み視線を右上に移す。

「あえて言うなら姉かな」
「姉」
「日常的に茶化してくるけど、酔っぱらって抱きついてくる美人の姉がほしい」
「咲哉、男4兄弟の末っ子だもんな」
「2番目の兄がボディービルにはまってて暑苦しいんだよ。筋肉を、見せて、くるな」
「さ、咲哉。落ち着け」

いつのまにか熱が入ってきた咲哉の肩を剛は叩いてやった。咲哉は深いため息をついた。2度目のため息である。

「姉がほしい。もう妹でもいい。『おにいちゃん』って呼ばれたい。『にーに』でも可」
「お、おう。それだけ聞くとやべぇと思うけど、咲哉の立場からするとわからんでもない」
「だからな、剛」

咲哉の目は若干死んだ目になっていた。

「二次元に行くのがいいぞ」
「あ、それ咲哉のことでもあったのか」

4/16/2024, 2:04:06 PM