【楽園】
いつもと変わらない日々を過ごしていた。そんな日常から外れて何処か遠くに行くことができたら。そんなこと叶うわけない、そう思っていた。ある日、不思議なバスが現れるまでは。
「楽園ゆき」
いつもと変わらないはずの乗り物にはそう書いてあった。他にも乗客はいて、大人も子供もどこか浮かれているようだった。停留所に停まるたび、一人、またひとりと降りていく。…行き先は楽園のままだ。その様子を眺めているうちに分かったのだが、どうやら、人によって考える「楽園」が異なるらしい。それぞれ、大人は仕事のない停留所に子供は甘いお菓子のある停留所に降りていった。私にとっての楽園とはなんだろう。このバスは私をどこに連れて行くのだろう。きっと終点なんてないこのバスに揺られながら、窓の外に目をやるとそこには……
さて、あなたの停留所には何があるのでしょうか?
4/30/2024, 1:51:52 PM