コートに立っていたかった。
ただそれだけを考えていた。
コートに立って、立って、立って、立ち続けて。全員が口を揃えて「天才」と呼ぶあいつより優秀だと、見せつけてやりたかった。
バレーで、このチームで、今目の前にいる"アレ"を倒すために必要なのは、俺だと。
俺は別に天才じゃない。だからこそ天才が許せない。
長けた才能。圧倒的センス。生れ持つ特性。
どれも、神様は俺に与えてはくれなかった。
だから努力した。
そいつらに敵うくらいの強さを求めて。
俺が勝てない相手に勝てるように。
誰もが目に留まる選手になるために。
そうしたら言われたんだ。
「バレーはコートに六人だべや」
「"六人で強い"方が強いんだろうが」
コートに立っていたい。
絶対俺の仲間と一緒に。
「信じてるよ
お前ら。」
このセリフは、いつか言われる時が来るまで使い続けると決めた。
_2024.3.1.「欲望」
コートに立ちたい欲望。
幼馴染が気づかせてくれた己の貪欲さ。
「信じてるぞキャプテン。」
HQ。醤油豚骨担々麺。
3/1/2024, 11:11:19 AM