「お願い、置いていかないでよ。
僕の救いは貴女だけなんだ。僕が子供だからいけないの?ねぇお願い僕をひとりにしないで。」
僕は貴女に縋り付くことしか出来なかった。一瞬困ったような呆れたような顔を見せ、貴女は僕に目を向けて
「何言ってんだい!何めそめそしてんだい!
あたしはあんたが知ってる通りいい女なんだ
よそ見してると他の男に攫われてっちゃうよ。」
魔性の笑みを浮かべて言った。
艶やかな雰囲気、鮮やかな着物が良く似合う人だった。なのにからっとした強かさも備えている。
憧れだったんだ。
僕の、たった一つの希望だったんだ。
お願いだから、置いてかないでよ。
僕をひとりにしないで。
たった一つの希望
3/2/2024, 2:32:57 PM