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一筋の光

一筋の光と聞いて最も多くの者が思い浮かべるのが
芥川龍之介作 蜘蛛の糸だろう。

蜘蛛の糸とは地獄での小さな善行を認められお釈迦様が極楽浄土へ続く蜘蛛の糸を垂らす。
主人公はその糸に群がる無数の罪人達に気がつく。
糸が切れてしまう事を心配した主人公は罪人達を蹴落とし1人上へ上ろうとするがその瞬間糸が切れてしまう。
私はこの話を読むたびに思うことがある。
もし主人公が他の罪人達を促し糸を上がっていたのなら物語はどうなっていたのだろう。
理論上は主人公の善行がたたえられ糸は切れないということになるが、主人公だけ極楽浄土へ上がれたのだろうか。
罪人達を促した主人公は自分だけが極楽浄土へ上がれたことを嘆くのではないだろうか。
得手して他人が他人を思い投げ打った物など
的外れなものが多い。
一筋の光が自分にとって有効な物である時、それはまぎれもなく自身の努力なのだ。
逆説を唱えると努力なしには「蜘蛛の糸」は垂らされることはないのではないか。

11/6/2022, 2:51:34 AM