とても怖い場所だった。
一昨年、母が一年弱入院していたあの病室。
漂う薬品のにおい。
薬品投与の影響だろうか、普通のそれとは違った独特な体臭。
何より、本人の痩せこけた腕や足。
思わず口をつくのは、未来を約束するような話ばかり。
引き留めようと必死だったのだ。
外とは異なる空気に、本能的に直感せずにはいられなかった。
...これほど身近に「死」を感じる場所は、かつて無かった。
元気な者でも、気付かぬうちに彼岸へ連れていかれてしまいそうな
恐怖感。
願わくば、二度とあの場所に足を踏み入れることがないように。
8/2/2021, 6:34:15 PM