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気がつけば
クラゲの巣であった。
目の前に広がるいくつもの赤十字に、
自身の存在さえ曖昧に感じた。

嫌に透き通った青の中で、
無数に漂う赤十字の群れ。
その中で、
異様に目立つ2匹の赤がいた。
詳細に語ればそれらは勿論、
赤だけで構成されてはいないのだけれど、
彼らを表すに相応しい言葉はこれだと、
変な確信をもってそう呼称しようと思う。

はてさて、眼前の赤に見惚れるのにも
飽きた頃、ふっと疑問が湧いてきた。
それはそれは
今更にも過ぎる問いだけれども、
どうして私はここにいるのだったか。
確か私は今日、夫とダイビングをしに
はるばる富山まで訪れたはずである。


クラゲ→夫
貴方だったのね

そのまま海に沈んでゆく二人

心中なのかな

11/23/2023, 8:48:14 AM