明良

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隠しごとはお互いしない。というより、特に隠したいかとがないはずだった。
できれば知られたくない恥ずかしい過去や、目を見ていいいにくい後ろめたくなるような過ちがあっても、知られたところで何を今更、言うまでもないけどわざわざ隠してたの、恥ずかしいかなって、と笑いあえて、信じられる仲だった。
信頼しているから、恋人同士、スマホの中を何でも見せあえるでしょと強制して喧嘩するようなことはしない。けれどメッセージを代わりにみるくらいは自然と許されているような仲ではあった。

恋人のLINEの通知音が珍しく騒がしいのが気になって、恋人も普段と同じように、なんてきてるー? と聞いてきたから、LINEを開こうとする。
が、いつもはないロックがかけられていて、メッセージは見れなかった。
ロックかかってるからできない、と彼にスマホを直接渡すと、あーそうだった! とLINEは開かずそのままスマホの電源ボタンを押して画面を黒に塗りつぶした。

ああそうだった。恋人は隠しごとが下手で、私がそれとなく薄情しやすいようにしていただけだったことを思い出した。
ああ嫌だ、そればかりはどうにもできないよ。

【開けないLINE】

9/1/2024, 5:35:42 PM