おと。

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「ねぇ、なんで水って透明なんだと思う?」
そんな質問を突然された。
「知らね、色々と反射でもしてんじゃねぇの?てか、なんだよ急に」
「いや、ただ気になっただけさ」
そう言いながら、遠くに見える海を見ていた。
此奴は会ってから2年くらいしか経ってないから当たり前だが、よくわからん奴だ。
「はっきりしねぇな」
そう言うと、不思議な顔をしてまた口を開いた。
「だって、元の色が必ずしも透明だとは限らないだろう?」
「…確かに」
「それに、海や川は遠くから見たりすると青や水色に見えるのに、近くから見ると透き通ったただの水だ。」
だが、川があれると一時的に泥水になるんじゃねぇか?
と思ったがあえて言わないようにしておいた。
「ふふ、今君が思ったことを言葉で返すよ」
「人の心を読むな!」
「次の日にはまた綺麗になり、元の川に戻る。透き通って美しさを取り戻す……かな」
少し間があったが気にしないでおいた。
「らしくねぇこと、言うじゃねぇか」
「失礼なこと言ってる自覚ある?」
「ねぇな」
「全く、私の心は透き通った水のように綺麗なのに」
「手前は泥水だろ」
そこからは相変わらず話が別方向にそれ、その話は何処かに消えていった。

でもね?
君のたまに見せてくれる優しさは透き通っているよ

# 9

5/21/2023, 5:04:12 PM