時雨(13)

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少女を乗せた人生を走る、列車のような乗り物がうねって、跳ねて、上がって、下がって走っていく。
窓から見える夜空に浮かぶ星は猛スピードで過ぎ去っていくのに、列車が風を切る音は聞こえない。
少女の乗っている一号車はほんのりと明るい光に照らされていた。膝の上では猫がまどろんでいる。少女は実に幸せそうな笑みを浮かべて、目の前で火守をする運転手に向かって聞いた。
「私の人生の終点は何処かしら」
運転手はこれまた幸せそうな笑みを浮かべて振り返った。でも、その顔は猫の面で隠れていて少女からは見えない。面についた硝子飾りを揺らし運転手は言った。その声はずっと昔に聞いた誰かの声だった。
「人生は終わるときがくれば終わります。それまで悔いなきよう生きればよいのです」
運転手は火掻き棒を手に取り、好きに生きればよいのです、と続けた。それから窓の外を見る。外は綺麗な星を散りばめた夜空のまま静かに雫を垂らしていた。夜空に雨が降っている。少女は笑ったまま泣いていた。運転手はそちらを見ることはしなかった。運転手もまた泣いていた。少女の膝の上の猫も涙こそ流していなかったが泣く夜空を瞳にうつして笑ったような顔をしていた。静かに笑いながら泣く彼女の心の産物は今、全て笑みを浮かべて泣いていた。喜怒哀楽という感情で表せない心情がその場を満たしていた。

お休みなさい(稚拙な文で申し訳ありません)。

8/10/2024, 10:39:53 PM