闇の精霊

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【きっと明日も】
「踏み込みが甘いですね。だから、いなされる」
小柄な女教官に軽々と天地をひっくり返される。刀術が得意な筈なのにどうして体術もこんなに優れているんだこの方は。
「顔を見なくても言いたい事は分かります。お答えしましょう。体術は基礎。ありとあらゆる分野で活躍します。それに並みの男性に敗北するなど屈辱の極みですので強くなって差し上げました。そして、教官として一言。基礎を怠る者は死して構いませんよ」
不敵な笑みから放たれる言葉は冷徹で鋭い。並みというのは一般男性の事ではなく兵士達の事。雑兵ごときと一緒にしてくれるなという圧。光のない目に見つめられて寒気がした。
「今日はこれでおしまいです。今回の箇所と次の箇所の教本を渡しておくので穴が空くくらい読み込んでください。実践もお忘れなく。筆記だけでは身に付きませんよ」
颯爽と訓練場を去る彼女。どれだけ訓練しようともまた今度も地面と口付けをするのだろうと手渡された教本を眺めながら思った。

9/30/2024, 12:09:09 PM