「ねぇ、君が大事にしたいものって何?」
2年前の5月、修学旅行の際に迷子になってしまった僕と会話をしてくれたある少女に投げかけられた問い。
あの1時間にも満たない時間で、忘れてもいいはずなのに忘れないのはきっと一目惚れが混じっているはずだ。
艶で満ちた胸元まである黒い髪の毛、どこの学校ともさして変わらないはずの赤いリボンのセーラー服。
どれも特別という訳ではないが普通という訳では無いけれど、どれも頭から離れたことはなくて2年が経過していて、投げかけられた問いに対しても未だ悩んでいる。
大事にしたいもの、大事にしたいかは曖昧だけれど今の僕なら君と出会えたあの瞬間の恋心を、せめていつか散るその時までは大事にしたいと思うよ。
目の前に立つ、2年前に出会った彼女に目を合わせて、僕は今から大事にしたいものを失うかもしれない。
「こんなところで会うなんてね。」
9/20/2024, 1:23:22 PM