エグチーセット

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「星座になれるなら何座になりたい」
「銀河」
「星座って言ったじゃん……」
色々あるよと分厚い本を差し出した。
しかしその視線は頑なにスマホに向けられている。
「流星群」
「なんでよ」
「星座って、大なり小なり物語が付属するじゃん……。そんな他人の後付けストーリーに付き合わされるとかごめんなの」
なるほど。
「……詳しいね」
「ちっちゃい頃……、プラレタリウムで働きたいって思ってて……」
それに思わず相手の顔をまじまじと見てしまう。
「…………それならさ、私が星座になったらアンタが私のことみんなに説明してね」
我ながらいい考えだ。
そう納得して帰り支度をはじめる。すると君も置いていかれまいと支度をしだす。
「はぁ?」
「ねぇ、今から紹介文考えといて」
「しかも私?!」
「誰ともわからない紹介文を付属されるのは嫌なんでしょ」
笑いながら廊下を駆ける。二人分の足音。
不思議と二人の足跡こそ星座に見えた。

10/5/2023, 4:49:32 PM