キャサリン2世

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私は幼少期から自分の容姿に自信があった。

そこら辺の子達よりは私の方が可愛いに決まってる、常にそう思っていたから流行りのルッキズムに頭を悩ませることもほとんど無いに等しかった。
高校生活が始まり、私にはとうとう好きな人が出来た。特別目立つ訳では無いけれど秘められた魅力を感じて心打たれてしまった。彼が嫌がらない程度に話しかけた。話も弾んだし、連絡先を交換することもできた。
毎日がきらきらと輝いていて私はいつも心が踊っていた。より自分に似合うメイクを研究し、肌ケアにも一層気を遣うようになった。私の知るいちばん可愛い自分を日々更新した。

そんなある日、彼に好きな人ができたという噂話なるものを耳にした。もちろん気になった、もしかしたら私のことかもしれないと密かに舞い上がっていた。だっていつの間にか下の名前で呼んでくれるようになったんだもの、それは彼にとっても私としても特別であった。
それに私は可愛い。きっと私なら大丈夫、新しいコスメを買おうと足早に教室を去り、珍しく人通りの少ない廊下を進んでいた時だった。

空き教室から普段ならしない人の気配を感じて、ふと立ち止まった。立ち止まったのが悪かった。ドアが少し開いていたばかりに中にいた人が見えてしまったのだ。
好きな人がいた。クラスの女子と二人きりで。
話し声が聞こえてきた、女子は告白されていた。私の好きな人に。

頭が真っ白になるとはきっとこのことだろう。前が見えなくなって急に暗闇に取り残されたかのような虚無感を覚えた。自分のことしか見えていなかった。あの子と彼はよく楽しそうに話していたではないか、それを認めたくなくて見なかったことにし続けたのは己の失態であろうに。

「自分がいちばんだって信じきっていただなんて…」

『バカみたい』

3/22/2026, 10:21:48 AM