クジラになりたいイルカ

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一筋の光____

2022/11/05 小説日記


母や父。家族や友達に親友。そして、先生。

その中から
どんなに褒められても
どんなに慰められても
涙は出てこない。

誰に言われても照れくさいからだ。


だけど、彼は違った。違ったんだ____





不眠症になった私は毎日のように小説日記を書き続けた。それでしかⅼストレスを発散できなかったからだ。親にバレないために部屋の電気は消さなくてはいけない。だからベッドのそばにある小さな明かりの中でスマホの中に私の気持ちを吐き出していた。

「クジラって斜視っぽくなったねー」

「…え?」

「なんか、左右目が変だよ」

「嘘……まじ?」

最初に感じたのは驚きよりも恐怖だった。確かに最近焦点が合わないなと感じることがある。でも、なぜだろうか。スマホのやり過ぎかな、と思いすぐに調べると寝ながらブルーライトの光を見ると目が勝手に離れていってしまうらしい。最近、そういう子供や大人が増えたとサイトに書かれていた。鏡で自分の目を見る。ゆっくりと目を開くと目が左右逆の方向を向いている。その自分の顔が怖くて鏡を伏せた。不安と恐怖だけが心の中でぐるぐるしていた。



斜視 直し方

スマホのやり過ぎ 斜視

斜視 手術

斜視 治るのか

斜視になった 不安

急に斜視になった 怖い



グーグルの検索履歴にはそればかり。するとある動画が目に止まった。一人のマッシュの髪型をした男性のイラストが優しい笑顔でこう呟いているサムネだった。「生きてるだけで偉いんだよ」。思わずイヤホンを手に取りその動画を再生する。

「ねぇ、どうしてそんなに死にたいの?」

ぶわっと涙が溢れてきた。やさしくて柔らかい声。癒やしボイスというのはまるで作り物で固められた偽物だから抵抗があった。でも、この声はそんなんじゃなかった。本当に温かい声で寄り添うように話しかけくれるのだ。

「なんで、そんなに、
『死にたい死にたい』って思ってるの?」

わからない…

「お勉強苦しい?お仕事辛い?」

うん。


「周りに嫌な人しかいない?
なんにもできない、自分が嫌い?」

うん…。

「苦しかったね。一人で悩んで、辛かったね」

うん……。




まる。というYouTuberのおかげで前よりも寝付きが良くなるようになった。小説日記が怖くて書けない日がたまにある。そいう日はまる。くんに助けてもらうようになったんだ。

11/5/2022, 1:27:31 PM