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 花火が上がるのってだいたいお祭りの時だ。川の向こうで打ち上げ花火と祭りが開催されているらしい。
 わたしは仕事から帰宅して缶ビールを呑んでいる。おつまみは近所のスーパーで買った枝豆。シンプルイズザベスト。美味しい。打ち上げ花火はここから見えない。それが残念だが、音は聞こえる。その音を聴きながらの晩酌は最高だ。いや、少し物足りない。
 ホワイトベリーの「夏祭り」を思い出す。今頃中高生や子供を連れた家族が花火を楽しんでいるに違いない。自分にもそういう甘酸っぱい思い出があれば良かったが、呑みながら思い出すのは今日のこと。呑んでよく寝て、明日に備えなければならない。
 
 目が覚めたのが少し早かったようだ。耳元で、花火が残していったあの音がかすかになったような気がした。昨日のことが幻のように感じた。ここで、私は涙を流していたことに気づく。わたしの夏が過ぎてゆく。

7/28/2023, 11:10:11 AM