Rei

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ふと部屋の整理をしているとひとつの封筒が出てきた。
『10年後の私へ』
日にちは今からちょうど10年前。
つまり今読んでも支障はないということだ。
内容は簡素で10年前の日常をひたすら書き綴られていた。
あぁ、今思えばあの頃の私はどうかしてたと思う。
寝て、起きて、いつものルーティーンを終わらせまた寝る。
そんな日々を淡々と1人で送っていた。
今ではそんな日々も忘れてふわふわとまた違う日常を送っている。
手紙も終盤。
『今、大切な人はいますか?』
たった数文字。たった1文が私の心に突き刺さった。
正直に言うと、私に大切な人はいる。
今は遠くにいるがずっと大好きな人だ。
多分もうすぐ会える。
彼には新しい人を探せと言われたが、私にはもう彼しかいない。
私にとって彼を超えるような人は居ない。
全ての人生をかけても見つからない自信がある。
それくらいには彼が大切で、大好きで、愛している。
あぁ、もうあれから10年経ったのか。
10年…。とても長いようであっという間だった。
彼にもうすぐ会える。
そう考えると嬉しくもあるが、それと同時に物悲しさもある。
私ももう80だ。
もういつお迎えが来てもおかしくは無い。
悔いが無いと言ったら嘘になるが、彼に出会えて、彼を看取って、私には勿体ないぐらい幸せな人生だった。
あぁ、早く彼に会いたい。

2/15/2024, 11:54:54 AM