紅茶は母の影響で子供の頃から好きだった。父と弟がいわゆる洒落てる系の飲み物に興味が無く、飲み物といえば麦茶一択の我が家だったが、母は時たま自分用に紅茶を仕入れ、コツコツとためこんでいた。休日の午後3時。小学生だった私が母におやつをねだると、チョコレートやクッキーとともに紅茶を出してくれることがあった。小学生だった私には、なかなか縁の無い香り。学校の給食や、おばあちゃん家で食べるご飯の中には、こんな香りのものは無い。紅茶の香りにうっとりしながら、母が添えてくれたハート型あるいは星型の砂糖を、どちらを入れようか迷う時間が好きだった。
10/27/2024, 1:35:32 PM