神様が舞い降りて来て、こう言った
「突然で悪いんだけどさ。なんかもう、疲れちゃって。
ほら、神様っていっぱいいるだろ?この国だけでも八百万だよ?諸外国の同業者入れたらとんでもないんだよね。
神様関係も難しいんだよ。
疲れたよ。
ちょっとでいいからさ。
代わってよ。」
「わ、たし?何故わたし?神様業って何なの?代われるもんなの?代わってよ、の意味がわからないんですけど。」
「頼むよ。なんか願い事1つ叶えてあげるから。」
「心得た。」
神様業を始めて3ヶ月が経とうとしている。もう嫌だ。
忙しいなんてもんじゃない。
毎日おびただしい数の願い事が送られてくる。
叶えていいかどうかの判断をする前にそいつの人間性を調べないといけない。
他にも、悪いことをしている奴がいたら、そのレベルに沿った罰を当ててやらねばならない。
その間にも、あちこちの同業者から膨大なメールが届く。なにやら、戦争のない平和なこの国担当の私だけ、仕事が少ないのはずるいとか。
いわゆるクレームだ。
冗談じゃない、こっちは素人。どれほどしんどいか分かってない。
それについて今度、協議会を開くという知らせだった。
行きたくない。
この仕事、辞めさせてもらおう。
それにしてもあいつ、全然帰ってこない。ずいぶん前に、“人間界楽しすぎるw”とメールが来たきりだ。許せない。あいつを呼び寄せる方法はこれしかない。
願い事
「あいつがとっとと戻って来ますように」
アラームが鳴っている。
いつもの部屋だ。
「夢、だったの?」
仕事に行く途中、通りすがりの神社に寄って手を合わせた。
「安心してください。願い事はしませんから。お疲れさまです。」
end
7/27/2024, 12:10:22 PM