NoName

Open App

突然の別れ

子供の頃は、自分の好きな人や物、風景や習慣など自分が大切にしている全てとの別れは突然だった。
単純で純粋だったから。


今は、色々な経験をしたし、どこでどう仕入れたか分からない、整理しきれない膨大な知識がある。
だから、予測する。


好きであればあるほど、大切であればあるほど、辛く悲しい身悶えする様な別れを予測する。
そして身構える。
傷付いてなるものかと。
それは、表情や声色に出る。
すると相手の、特に人には何故だか伝わる。
そして、相手も身構える。
それを私は察知して、さらに身構える。
すると、相手と一緒に居ても楽しくなくなり、綺麗な景色だとか、良い音色だとか、思わなくなる。


そして、ちゃんと確実に、思い描いた通りの別れがやってくる。
それは自分が招いた事なのに、この世の終わりかのように泣いたり喚いたりする。


つまり、何が言いたいかというと、純粋に誰か何かを大切に愛していたのなら、別れは突然でも大丈夫、その痛みは強烈だが後には残らない、という事と、私は別れ製造マシーンだったという事。


そんな自分と別れてから1年。
最近は、誰とも何とも別れていない。
家の鍵以外は。


2.024/5/19

5/19/2024, 2:59:26 PM