蟹庭婦人

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言葉はいらない、ただ…そこに猫がいるだけだ。

布団に入って目を閉じると、鈴の音が近づいてくる。
頭と壁の間を、何かが通る気配。
やがて左手に頭突きをされる感覚。
脇を開けてやると、腕と胴の間でどさりと何かが倒れる音。
そして二の腕を揉みながら、ちゅぱちゅぱと肉球をしゃぶる音。ごろごろと鳴る喉。
それを聞きながら、とても満たされた気持ちで眠りにつくのだ。

言葉なんて、いらないだろう?
僕はこんなにも幸せなのだから。

8/29/2023, 12:35:30 PM