Omothi

Open App

たくさんの雨粒が窓を打ち付ける。
ここまで激しい雨はいつ振りだろうか。

豪雨だからといって会社や学校が休みになるわけではないから、雨が降っているということ以外は普通の日常だ。
オフィス内の空気はまるでこの薄暗い空のようである。
ここにいる皆んな、口には出さないが毎日毎日必死にしがみついて立っているのだ。
歯を食いしばって耐えて耐える。生きるために。

苦しいとか、しんどいとか、そういった感情はある程度麻痺しているみたいだ。
子供のように声を上げて泣きじゃくれば楽になるのだろうか。
残念なことにどうやら歳を重ねると、涙というものを何処かに置いてきてしまうらしい。

そんな愚かで滑稽な人間を愛おしむかのように。
僕らの代わりに空は泣いた。


〝空が泣く〟

9/16/2023, 10:38:49 AM