みどり

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 「何か、いいストーリーないの?」
「ストーリー?」
「いや、ストーリー考えるの、みどりちゃん得意じゃん」
「……今、ちょっと考えてるのは……」
「教えてよ。お願い」
「架空の国なんだけど」
「うん」
「ルヤ人とルヒョン人という民族が居る国で。ルヤ人とルヒョン人は、見た目が同じだけど、ルヒョン人は爪が生まれつき黒いんだ。でも、たったそれだけの事で、ルヒョン人は迫害されている。でもある日、ルヤ人の殺し屋とルヒョン人の奴隷が出会って、二人が人種に関係なく仲良くなっていく、的な……」
「へぇ」

 中学生時代、絵の上手い友人と私の会話だ。共作で漫画を描こうとしたのだが、結局出来なかった。彼女は今では専業主婦だ。今でも、このストーリーが忘れられない。自分にもっと文才があれば、小説に出来たのかもなぁ……。 

6/10/2023, 4:00:58 PM