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突然の君の訪問

かつて飼っていた猫がいた。彼女は気まぐれで、私が目を離した隙にいつもどこかへ行ってしまう。あの日もどこかへ行ってしまったきり、もう随分長く帰ってきていない。
その彼女が、今縁側の外にいる。
「あら、どうしたの」
にゃあ、彼女が鳴いた。
「おかえり」
私は言った。抜け出した彼女を捕まえにいくのは私の役目だったけど、それはできそうになかった。
「そうね。今日なのね。ちょうどいいわ」
雨も降っていないし、家族は出かけてしまった。
私は1人で死ぬのだ。私の誇り高き飼い猫が、かつてそうしたように。
いいや、1人と、1匹で死ぬのだ。

8/28/2023, 4:18:17 PM