巡り会えたら
彼を見送った
終戦間近と言われているのに
始まった時と何も変わらない
むしろ、状況は悪くなっているように感じる
旅立つ前の彼はいつも空を見上げていて
「いつも空見てるね」
見上げていた目線をゆっくりと私に合わせて
「必ず帰ってくるから、泣かんと待っててや」
大きな手で私の頭を子どもをあやすように撫でた彼は悲しげに微笑んでいた
彼の目には何が映っていたのだろう…
「泣かんと待ってるから、無事に帰ってきて」
ぽつり言った言葉に
鼻の奥がつんと痛んだ
見上げる空はどこまでも青く澄み渡っている
この空の下でまた巡り会えたらきっと…
10/3/2023, 11:13:14 AM