おと。

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「月にお願いするとなんでも叶うらしいよ?」
「ふ〜ん、でもそれは迷信だろ?」
「夢無さ過ぎ〜」
はいはい、どうせ僕は夢が無い唯の人ですよ。
それに、どんなに願いを叶えようとしても月は動かないでしょ?
それに、もし本当に叶ったらこの世はこんなにも歪んでないよ。
「ねぇ、今、月のお願いについて全否定したでしょ?」
「お見事、流石幼馴染み、良く分かってるじゃねぇか」
「まぁね!…じゃなくて!ほんとだからね!私はそれで願いちゃんとかなってるんだからね!」
「へー、そうなんだー」
いつまでも、喚いてる幼馴染み、まぁ、友達を無視して漫画を読み進めた。
「もう!じゃあなんか君のお願い教えてよ!満月の日にするといいの!」
「はい、残念!満月まで後二週間、其れ迄に僕の、願いを覚えていられるのか?」
「う"っ…それはそれ!これはこれ!良いから教えて!」
「ない」
「あるでしょ?!ほら、君だったら本たくさんとか」
「そういうのは、自分で買ってなんぼなんだ、学べ」
はぁ、その話って昔僕がこいつに教えたってこと覚えてんのか?
でも、こいつほんとに自分の願い叶えてんだよな。
「私一応、高校生で小説家!ほら!叶ってんじゃん!」
そう、こいつはガチで高校生になったら小説家になる、という夢を叶えた。
どうでもいいけど。
「もう、寝る!3時になったら起こして」
「わかったよ」
やけ寝って、面白過ぎ。
はぁ。
「月に願いを、ね」
これ、僕は母親に聞いた話なんだよね。

# 14

5/26/2023, 11:37:08 AM