菊ぽぽ

Open App

「ありがとう、ごめんね」

僕は友達がいる
学校に通う友達もいるけど僕のお家にも友達がいる。
友達と言うより兄かも?
お家に帰って僕の部屋に行くとおかえりなさいと言う

僕のクマのぬいぐるみだ
名前は「スターマン」
おかえりなさいって本当に喋ってる訳じゃないけど僕はそんな風に思うだけ
いつも僕の味方にしてくれる
上級生の子達にイジメられたり運が無かった一日だったり先生に怒られたりなど辛かった事があった時にスターマンを抱いてると「辛かったね、もう大丈夫だよ。」とか「我慢して偉いよ!今日はそんな日もあるよ。」などスターマンから語りかける

逆に僕が嬉しかった事は僕が話しかける
スターマンは何も喋らないけど喜んでうなずく

スターマンいつも、ありがとう!

でも僕が中学生になると何だかスターマンと距離が離れてきた
部活動や期末テストで忙しくなったからスターマンは遊べなくなった
そしてあっという間に中学と高校を卒業した
ぬいぐるみも卒業しようかと思い捨てようかと思ったけど捨てずにスターマンを押し入れにしまった

僕がサラリーマンになって5年目となる
未だに他の人達とは話しかけてない
タバコを吸っていれば話しかけるチャンスかも知れないけど僕はタバコが苦手で吸えない
ミスして上司によく怒られたりするけど何だか僕は疲れてきた
何だか次の日が来るのも嫌になる
ある日、職場でぬいぐるみを持ってきた男性社員がいた
「これがないと落ち着かないんだよ」
すると女性社員も来て
「分かる〜アタシも推しぬいを持ってきた」
それを見ていた僕は何だか大事な事を忘れてる気がした
何だろうか?僕が一番大事にしていたぬいぐるみが思い出せない
思い出せないまま定時で帰る時に僕は見た
女子高生が大きなクマのぬいぐるみを抱えながら歩いていた
「マジで欲しかったぬいぐるみが五千円でゲットしたわ」
など女子高生達と会話しながら歩いてた

思い出した!僕の大事なぬいぐるみ!
僕は慌てて走って帰った
まだあるかは分からないけど僕は無我夢中で走り帰宅した
押し入れを物を出して探しまくって古い段ボールを出して開けたらぬいぐるみが出てきた

僕の大事な友達……スターマン!

ほこりまみれだけど間違いなく僕のスターマン

スターマン、ごめんね。寂しい思いしちゃってごめんね。
僕が悲しくなってたら「いいよ、また会えて嬉しいよ」と聞こえたような気がした

僕はスターマンをキレイに洗った
ほこりまみれだったけど特に破れていなかった
乾燥機のスイッチをつけてスターマンを干した

次の日の朝
僕はスターマンを鞄に入れて仕事に行く
机に置いたら男性社員が言ってきた
「もしかして、キミのパートナー?」
「うん、小学生の頃からずっと友達だよ」
すると女性社員も来た
「クマのぬいぐるみじゃん!可愛い!」
久しぶりに誰かと会話して僕は嬉しかった
社会人にぬいぐるみを卒業しなくても良いんだなぁと僕は思った
スターマンのおかげで仕事場の人達と上手くいったよ
ありがとう、スターマン

12/8/2024, 11:26:37 PM