闇の精霊

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【放課後】
さてさて、今日はワクワクドキドキチョベリグテンアゲな話題を持ってきたよ。
「先輩。話題よりも…ちょべり?てんあげ?なんですかそれは」
おやおや、たった数年生まれるのが早いだけでこの言葉が伝わらないのかい?悲しいねぇ。チョベリグは超Very Goodの略でテンアゲはテンションアゲアゲの略だよ。
「知らないですけど?」
これがジェネレーションギャップか。いやはや、私も老いたね。
「冗談はいいので話を聞かせてください。死語が今回の話題だったりします?」
そんな訳ないだろう。チョベリバのテンサゲのぴえんといった感じだね。ぱおんぱおん。
「先輩、未成年で飲酒は宜しくないですね。生徒指導の先生呼んできます」
待て待て。些細な戯れじゃないか。それに私はこの部活動のせいであの生徒指導から睨まれているんだ。勘弁してくれ。
「二人だけの部活動。いや、同好会ですよね。それも違う。同好会を名乗るのもおこがましい人数な上に放課後に屋上でオカルト部として記事を書き、掲示板に貼ったり、配って回る活動。それは睨まれますよね。先輩は部長ですし、尚更ですね」
まるで私が悪の親玉かつ全ての元凶の様な言い分じゃないか。占拠はしていないし、記事を書くという文芸活動。そして、愛しのオカルトの何が悪いんだい?頭にアルミホイルを巻いて電波がーマイクロチップがーノストラダムスの予言がーと騒ぎ立てる陰謀論者じゃないんだ。オカルトと陰謀論を同一視する愚か者は宇宙人に拐われて改造手術でも受けてきてくれたまえ。
「あー…。色々と突っ込みたい所はありますが…。何言っているんですか先輩は。そういう事を言うから周りから『何コイツ』と奇異の目を向けられるんですよ」
奇異?そうだったのかい。私の優れた頭脳に嫉妬している愚民の視線だと思っていたよ。ふふふっ。
「先輩」
怒らないでくれたまえ。私が学年成績三位以内かつ学内の成績でも五位以内には入っている秀才だよ。それに偽りはなかろうよ。
「それは紛れもない事実ですね。尊敬しています。それ以上に異常…。何でもないです」
美少女には欠点があった方が人間味があって素晴らしいだろう?同じ人間だと愛せるだろう?完璧というのは理解から遠退く代物なんだよ。ふふっ、普遍的な美少女というのは実に愛らしいね。
「…。」
呆れてくれるなよ。私の顔面は普遍だ。実に面白味もない。整ってもないが崩れている訳でもない。つまらない面だよ。
「そこじゃないですけど…。先輩のどこを見ても普遍的とは言えま…。ゴホン。というか、外見気にするタイプなんですか?先輩」
美少女に憧れるのは老若男女関係ないんだよ。美少女であればちやほやされるからね。大勝利だよ。愛される事は才だよ。私は私の道を往くからそういう才など桜の木の下に埋めてきたが。欲しかったらスコップを貸そう。その才を入手出来れば愛され後輩の爆誕だ。
「今の流行りは祠の破壊らしいですけどね」
そう。それだよ。今回の話題は。
「先輩が流行りの祠破壊の話を持ってくるとは…。あれ、単なる罰当たりの愚か者の末路の話ですよね?というか、戯言では?」
インターネットという広大な海の妄想の産物ではなくこの辺りで本当にそれやってのけ、祟られた配信者の話だよ。
「ヤラセ臭が凄い眉唾オカルト…」
祟りが本物ならオカルトだろう?ヤラセならいくらでも暴いてやろうじゃないか。彼の活動を昇華する学生の慈善活動だよ。
「えぇ…」
引かないでくれたまえよ。件の彼の祠破壊動画の保存は既に行っているし、動向も常に見ている。配信にはノイズ、オーブ、文字化けしたコメント等々の異常現象ハッピー特盛お買い得欲張り盛り過ぎセットで見ていて飽きないよ。
「先輩は言葉を盛るのが流行りですか?」
テンアゲなのが伝わるだろう?
「はぁ…?」
さて、粗方用件は伝わっただろう。これがPCルームの鍵と学校のPCからインターネットに接続する為のコード。そして、件の配信アーカイブのデータ。一緒に視聴をして謎を暴こうじゃないか。
「用意周到な上にナチュラル犯罪…」
法に触れているのかい?それは驚いた。鍵はお借りしたのとコードは丁重に教えてもらったもの。アーカイブの保存は問題ない。ネットの海に流さなければいいのさ。何も悪くないね。
「…はぁ。分かりました。一緒に怒られる覚悟は出来ましたから行きましょう」
バレなければ問題などないのだよ。ふふふふっ。大船に乗ったつもりできたまえ。
「何処からその自信が湧いてくるんですか…。もういいです。早く共倒れしましょう」
ネガティブだね君は。だが、共倒れしてくれる覚悟は好きだよ。うふふ。

10/12/2024, 12:57:37 PM