ぺんぎん

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せっかくなら、爪先から頭のてっぺんまで愛で浸してくださいと、手先を差し出す
君は薄っすらと笑みを浮かべ、薬指の付け根の輪郭をなぞって
まろい指を食んで優しく撫でるように歯をたてる
締め付けるような痛みですらまるごと愛に変換できるくらいの痕だと
一生消えない指輪だと悍しい顔で見つめた君、
ああそんな顔までかっこいいの、反則
ひりひりと赤い痕の上を滑った
愛がこびりついた冷たいゴールドの指輪を嵌められる
絡めあった手の奥で触れ合ったそれを、愛しい荷物のように思う
――愛に淀んだ目で、溺れた身体中、つま先まで喰われるの。

7/30/2022, 3:02:06 AM