NoName

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2024/08/16 18:02:40
【夜の海】

月明かりだけが、僕を見守っていた。

寄せては返す波。
素足をさらして、砂浜を踏みしめる。

朝が来るまで、このままでいたい。
波と砂の感触だけを覚えていたい。
そう思いながらも、それが不可能なことは自分でも分かっていた。

なぜ僕だけがここに立っているんだろう。
君に会いたい。
会いたいのに。
君なら、幸せになってと、生きて欲しいと言うと分かっているから、僕はずっとここで立ちすくんだまま。

記憶の中の君が少しずつぼやけていく。
忘れてしまう。
君の香りも、姿も忘れて、声だけが僕の中に残る。

だからせめて、君を思い続ける。
どれだけ忘れてしまっても。
君への気持ちだけが、僕の道しるべとなる。

8/16/2024, 9:08:19 AM